頭痛グラフ
頭痛グラフ
ながせき頭痛クリニック開発『頭痛グラフ』
自分の頭痛のパターンをグラフ化することで、色々なことが見えてきます。
毎日頭痛がある人は、薬物乱用頭痛、慢性緊張型頭痛、うつ状態さらにはストレスなどが関与していると思われます。
『頭痛グラフ』ダウンロード
『頭痛グラフ』が日本頭痛学会誌に掲載されました
論文の3〜5ページに記入例の代表例が出ております。
代表例を見る
頭痛グラフの使い方
1. 頭痛グラフをダウンロード | ダウンロード後、印刷をしてお使いください。 |
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2. 自己評価をする | 頭痛グラフには上段と下段があり、16日ずつの記入方式になっております。 |
3. 線で結ぶ | これらを線で結ぶことにより、頭痛の程度や頻度がわかります。 |
4. 1ヶ月続けましょう | 1ヵ月の記入により、あなたの頭痛が片頭痛なのか?緊張型頭痛なのか? |
5. 診断へ | それを頭痛外来を標榜している先生に見ていただくと頭痛診断がしやすくなります。 |
女性の方 | 女性の場合には月経の欄に始まった時から終わりまで赤線などで記入します。 |
片頭痛予防注射薬
片頭痛予防薬のエムガルティ・アジョビ・アイモビーグの注射薬の接種が可能となりました。
「片頭痛治療はここまで進歩しました」
片頭痛の新規発症予防薬(月に1回の注射薬)が‘21年4月と8月に計3種類が発売され、当院でも30例を超える患者さんに投与しております。患者さんの許可を頂き、40代男性と女性2例の片頭痛患者さんに、新規片頭痛予防薬の接種前後の頭痛改善度を「頭痛グラフ」に記入して頂き、その結果を提示しました。この2例は、あくまでも代表例です。日本における治験の成績では、これら注射薬の効果は、片頭痛日数が5割以上改善した割合が約6割でした。
片頭痛予防薬接種前後3か月間の発作日数の比較
このように頭痛で悩まれている方々に、予防注射薬を使うと、片頭痛日数が減少して、頭痛に対する不安がなくなる、寝込む、集中力が低下する、作業効率が落ちるなどの日常生活への支障度が改善するかもしれません。 以下のような片頭痛の特徴を理解して色々鎮痛薬治療しても効果がない場合には、一度頭痛専門医の受診をお勧めします。
1. 片頭痛は見逃されやすい!(肩こり頭痛と勘違い) | 片頭痛は、一般的に、片側で、ズッキンズッキンと拍動する痛みで、目がチカチカする頭痛信号があると捉えられています。さらに、肩や首がつまってから頭痛がおこることもあり、肩こり頭痛だと思っている患者さんもいます。鎮痛薬を飲んで半日から3日たつと治るので薬が効いたと勘違いされている例も多いのが特徴です。そのため、本来の片頭痛が、見逃されていることも大きな要因です。 |
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2. 片頭痛の特徴とは? | 前日元気であっても、急に眼がチカチカする前兆(2-3割の人)や、肩や首のつまり(7割の人)が予兆となり、頭痛発作が出て、家事,就学や仕事などができずに寝込むほどの頭痛を繰り返します。頭痛は片側に限らず両側であったりします。頭痛発作は、4時間から72時間続き自然に治りますので、患者さん方は、「いつもの頭痛」、「寝れば治る頭痛」、「鎮痛薬を飲めば治る」などと、自己判断している例が極めて多いのも特徴です。肩や首のつまりから始まると、肩こり頭痛(緊張型頭痛)と誤解されてしまいます。頭痛発作は、月に1-10回程度(個人差あり)、ストレス、月経の前・最中・後や排卵日頃、気圧の変化、運動や飲酒等が誘因になります、それらが、同時期に重なったときには、片頭痛が重症化して長引いてしまうこともあります。 |
3. 片頭痛に伴う症状 | 片頭痛時は、ムカムカしたり吐いてしまうのも特徴です。小児科では、これが続くと自家中毒や起立性調節障害として治療されることもありますが、頭痛を伴っておれば片頭痛の随伴症状です。 さらに、片頭痛の患者さんは、頭痛の発作の前や最中に、まぶしい・うるさい・臭いが嫌だと訴える患者さんも多いのが特徴です。光過敏の方は、発作時には、電気を消す、カーテンをしめる、布団をかぶって寝込むのも特徴です。 |
4. 片頭痛発作は何でおこるの? (脳血管の炎症→火事にたとえる) | 何らかの誘因(心身のストレス、気圧の変化、月経・排卵、飲酒、運動、太陽光、特定の音やにおいなど)により、脳動脈周囲の三叉神経のアンバランスをきたし、セロトニンが減少することで、CGRPという物質が放出されます。このCGRPが脳動脈の受容体と結合します。これにより脳動脈の神経原性炎症により動脈が異常拡張して、並走している三叉神経を刺激してズッキンズッキンする頭痛になります(これを血管の火事にたとえます)。中には、これに限らず割れそうに痛い、締め付けられるように痛いと訴える方もいます。その時に、嘔気、嘔吐や光・音・臭い過敏の随伴症状を伴います。さらに、異常に拡張した動脈は、体を動かす、階段の昇降や気張ったりすることで、余計に動脈の拡張を引き起こして、頭痛がさらに悪化するため、寝込んでしまいます。 |
5. 片頭痛の治療は?(血管の火事を消す:頓服薬) | 片頭痛には発作時に使う頓服薬と片頭痛発作を抑制する予防薬があります。 上述のように血管の火事を消すには即効性が大事ですが、動脈の内壁にあるセロトニンの1B受容体と三叉神経に1D受容体があり、その成分を含むトリプタンという薬を投与することで、拡張した脳動脈を収縮させることで三叉神経への刺激を改善させ、頭痛発作が改善します。要するに血管の火事を消す作用のため、発作時すぐに内服すると1-3時間程度で、頭痛発作が寛解します。 |
6. 片頭痛予防薬は? | 片頭痛予防薬には、経口薬と注射薬があります。 経口薬には、片頭痛の予防薬として、世界的な研究から最も効果があると医学的に実証済みの薬剤として、抗てんかん薬のバルプロ酸、降圧薬や労作性狭心症予防のβ遮断薬、Ca拮抗薬と抗うつ薬などがあります。これらは、片頭痛の発作回数や頻度を減少させる効果があります。 一方、昨年から発売された発作予防薬としての注射薬は、脳動脈に併走する三叉神経から放出されるCGRPを動脈の受容体にはまり込むのをブロックする薬ですので、血管の火事をおこさない作用として片頭痛の予防薬と考えられます。注射薬には、抗CGRP抗体薬(2種類)とCGRP受容体(1種類)があります。これらは、経口予防薬を投与しても効果がない時に、片頭痛発作が、月に4回以上あり、日常生活に支障がある場合や、鎮痛薬やトリプタンを月に10-15日以上内服するのが3か月以上続く薬剤の使用過多による頭痛の患者さんにも有効性が認められております。 |
7. 注射薬の副作用は? | 接種部位は、上腕部、腹部や大腿部に皮下に注射しますが、接種部位に紅斑・かゆみ・疼痛や硬結を伴う例が3割程度ありますが、ほとんど1-2日で改善します。他の副作用は当院ではありませんでしたが、日本国内では、1万例を越える接種例で、2例のアナフィラキシーショックを認めております。全体的にみて安全性の高い薬剤だと思います。 |